こんにちは。
前回、楽器も弾けず専門的な知識も乏しい状態から、どうやって作曲を進めていくかの方針について簡単にまとめてみました。
楽器も使わず、外部から音源も入手せずに無料で作曲を行うとしたら、自然音や生活音を用いる方法が、誰でも気軽にコストもかからず行えるという結論になりました。
僕を含めて、作曲初心者が音を用いて曲という形を作るには、ある程度の基礎知識が必要だと思われている方も多いのかなと思います。
ただ、世の中に流れる楽曲の基本的な考え方は恐らくそこまで難しいものではないと思います。本を読んでガッツリ勉強して作曲を行うのも良いと思いますが、僕は続きませんでした。折角ルールに縛られずに自然音を使って作曲を行うので、必要な知識はまず最低限度の物にして、少し演習のように手を動かして、もっといろいろ工夫したいとなれば知識を上乗せしていけばいいのだと思います。
そこで、簡単な曲を作るために必要だなと(僕が)思う知識をいくつかまとめていこうと思います。僕も作曲初心者ですが、まとめた知識をベースに作曲していく予定です。
今回は第1回目【音の周波数と強度】です。
Contents
作曲をする上での音の性質
今回作曲をする上で材料にするのは自然音や生活音なのですが、音の性質について理解すれば、録音した自然音を加工、編集して、自分好みの音を生み出すことができます。
音は空気を伝わる波
空気が無ければ音は聞こえない
まず、自然音や生活音を日常的に聞くことができるのは、空気があるためだと知る必要があります。
中学校の理科で行った「真空状態」などの実験を行えばわかりやすいのでしょうが(Youtuberか誰かがやっていました、笑)
もっと身近にも空気と音の関係を理解しやすい例があります。
お風呂場やサウナには普通の空気よりも水蒸気が多く含まれた湿度の高い状態です。空気の種類や組成が変わってしまえば音の伝わり方も変わるため、自分の歌声の聞こえ方も変わります。
以下はバラエティ番組などでよく見られるヘリウムガスでの変声ですが、純粋なヘリウムガスを吸うと窒息してしまうので酸素が20%ほど含まれています。しかし、組成が空気とは異なるために音の伝わり方が変わってしまうため声が変わります。
このように、気体の種類や能力によって、音の伝わり方や聞こえ方は変わってしまいます。
日常的に音楽を楽しむ場合には、空気が無ければ音を伝えることも聞くこともできません。空気が音を伝えてくれているからです。
音は空気の振動=「波」
何故空気が音を伝えてくれるかというと、空気の振動を人間の耳が感じ取ってくれるからです。
空気は酸素分子や窒素分子でできている為、この小さな分子が振動をするのですが、振動のリズム(速さ)や強さは様々です。このリズム(速さ)や強さによって、音色が変わったり音の高さが変わったりします。
自然音を使って自分の好みの音を作り出すためには、この振動のリズム(速さ)と大きさがカギになってきます。
音の「周波数」と「強度」
音を伝える空気(あるいは他の媒質)の振動のリズム(速さ)と大きさは、それぞれ「周波数」と「強度」という言葉で表されます。基本的には音はこの2大要素で成り立っているので、
ということになります(あくまで素人の机上の空論ではありますが笑)。
そのため、この「周波数」と「強度」という二つの言葉について簡単な知識を備えておくと、自然音を使って作曲をするときに役に立つと思います。
音の「周波数」
まずは、音の「周波数」についてです。
周波数の単位はヘルツ(Hz)であり、これは1秒間に何回波が振動するかを表します。単位が【毎秒】なので、周波数は振動のリズム(速さ)です。
そしてこの音の周波数は、音の高低として人間の耳に伝わります。周波数が高くなれば音も高く聞こえ、周波数が低くなれば音が低く聞こえます。
すなわち
ということになります。
音の「強度」
音の性質を決める上で重要なもう一つの言葉が「強度」です。
これは、単純に音の大きさ、音の強さを表します。空気がどれくらい強く振動されるかということですね。
ということになります。
また、波の振幅という言葉がありますが、物理的な定義の違いはあるものの、作曲をする上ではほぼ同義(強度=振幅)と捉えても大丈夫です。
なぜ「周波数」と「強度」が重要か
全ての音はこの「周波数」(音の高さ)と「強度」(音の強さ)という2大要素で成り立っています。そのため、作曲を行う上でもこの2つを使いこなせればいいということになります。
では、実際に自然音で作曲を行う上で「周波数」と「強度」がどのように役に立つか?ということを考えてみます。
生活の中には無数の「固有音」がある
人間の声、動物の鳴き声、自然音、生活音、機械音……
世の中には無限の音があります。どの音も似て非なる固有の音です。同じような音であっても、「柔らかい音」「硬い音」「軽い音」「重い音」など、聴きごたえは音によって微妙に異なります。全く同じ音を見つけることは非常に困難です。
同じ曲でも、歌う人によって音が変わる
日常の中で個性を感じやすい音の1つに「人間の声」があります。周波数や強度を作曲に用いる為に、例を1つ挙げてみましょう。
福山雅治さんとか、ラジオで他の歌手の方のカバー?として弾き語りをされてましたね(今は終わってしまったようですが…)。
カバー曲はオリジナル曲とアレンジの仕方が異なるため、聞こえ方が異なるのは当たり前だ!と思われるかもしれません。
しかし、同じ曲を歌っているのであれば、歌のメロディー(主旋律)は同じであり、同じ高さの音、すなわち同じ周波数の音を歌うことになります。プロの歌手であれば基本的に音程を大きく外すことはありませんので、皆が同じメロディーを同じ周波数の声で歌っているのであれば、誰が歌っても同じ声に聞こえるはずなのです。
ですが、「実際には人の歌声には個性があり、同じ曲でも違う声で歌っている」という事実が、周波数や強度と音の関係を知る上でのカギとなります。
音色(音の個性)は、複数の「周波数」「強度」が組み合わされて生まれる
では、人によって歌声が異なるのはなぜか?ということなのですが、
人間の声を含む様々な音は、純粋な1つの周波数ではなく、様々な「周波数」(高さ)の音が、様々な「強度」で組み合わさることで、個性的な音になるのです。
これは僕は大切な事実だと思います。以下に例を挙げてみましょう。
例えば、歌の上手い人が、高さが「ド」の音を歌ったとします。歌が上手ければ当然聴く人にとっても「ド」の音に聞こえます。しかし、いくら歌が上手くても、純粋な「ド」の音だけを声にして歌う人は居ません。
人は、「ド」を外れなく歌っているように聞こえる、ということです。
人の声の分布を簡単に表すと、以下の図のような感じでしょうか。
「ド」の音を歌う場合は、「ド」付近の周波数の音が1番大きな強度で発せられるのですが、その周りの少し周波数が外れた音や、大きく周波数が外れた音も、小さな強度ではあるが同時に発せられています。純粋に「ド」を歌っているのではなく、「ド」を代表としたさまざまな音を歌声として奏でているということになります。
そして、同じように「ド」の割合が高い歌声でも、この分布が変わってしまえば、発せられる音は大きく変わってしまうため、同じ「ド」でも全く違う歌声に聞こえるのです。同じ歌を歌っても人それぞれ個性が生じるのは、
ためなのです。
濁っているから音は輝く
人の声に限らず、生活の中の音全てが、異なる周波数の音の組み合わせ(足し算)でできています。つまり、純粋な(単一)の周波数の音ではない、言わば濁った音だと言えます。
しかし、純粋な(より単一に近い)周波数の音が素晴らしいかと言うと、そうでは無いと思います。純粋な周波数の音は、聴力検査で使うような音です。聴力検査をずっとしていたいとか、あの単調な音をずっと聴いていたい、という人は僕は見たことはありません。
濁れば濁るほど良い、という訳ではないのですが、音は複数の周波数が組み合わさって濁ることで、人の耳に心地よい音になったり、個性を生み出したりする材料になります。
音は濁ってナンボということですね。
自然音の「個性」
自然音の場合は、人の声よりも秩序無くいろんな周波数が組み合わされているため、より濁った音と言えます。濁り方によって、心地よい音もあれば不快な音もあります。
しかし、濁っているということはそれだけ個性的な音を生み出す材料になるということです。
自然音をそのまま作曲に用いる必要は無く、豊富な個性を持った周波数の「濁り」をアレンジして、聞きやすい音、心地よい音を作ったり、音階を作ることでメロディーを奏でたりすることで作曲の幅も広がると考えています。
自然音を使う場合にも、「周波数」と「強度」の組み合わせに手を加えることで、個性的かつ使いたい音を模索しながら作曲を進めることができると思います。
まとめ
人の声でも、自然の音でも、個性があるのは「周波数」と「強度」という2つの性質があり、その分布が異なるからです。
次回はこの「周波数」と「強度」をどのように変えていくとよいかについて考えてみます。