こんにちは。
今回は、グループ会議など複数人の画面共有を行いたい場合に便利なソフト「Jitsi」の使い方について説明していきます。
日本では、グループ会議や画面共有の主なツールとしては、Skypeがプライベートとビジネスの両方で広く用いられています。しかし、Skypeのセキュリティには、機密情報の取り扱いを行う上で問題があることが、テクノロジーに関して情報発信を行う国際的団体「電子フロンティア財団(EFF)」から指摘を受けています。
メッセージアプリのセキュリティ上の問題については以下の記事をご覧ください。
一方で、Jitsiは日本では知名度が低いものの、強固な暗号化技術を搭載しており、EFFからもそのセキュリティの安全性や技術を複数の観点をから高く評価されているソフトです。Skypeでは不可能な、複数人同時画面共有が可能なのも強いメリットと言えます。また、オープンソースであり全ての機能は無料で使用できます。
ビジネスでもプライベートでも、
- 情報の漏えいなく確実に相手との通信を行いたい
- 画面共有を使って円滑に情報交換を行いたい
- グループ会議を用いてプレゼンテーション(もしくはその練習)を行いたい
などお考えの方には最適のソフトと言えます。
Jitsiの概要、優れた機能については、以下でSkypeと比較して解説しています。
Jitsiの表記は英語が主であり、サポートは全て英語ですが、インストール後は半分以上日本語表記になるため、使い勝手に困ることはないでしょう。
ここでは、基本的な使用方法について解説していきます。
Contents
Jitsiのアカウントについて
Jitsiは、一般的に知られているSkypeやLINEなどのメッセージアプリとは、アカウントの作成方法が異なります。
SkypeやLINEのアカウント:そのアプリでしか使えない
SkypeやLINEなどのメッセージアプリは、
- アプリをインストール
- 電話番号、メールアドレスといった個人情報を認証
- そのアプリでしか使用できないIDを発行
- IDを交換して通信
という手順になります。IDを発行するためには個人情報が必要ですし、IDはそのアプリ独自のシステムで管理されているため、外部から監査できないセキュリティ上の危険がひそんでいる可能性があります。
Jitsiのアカウント:複数のアプリで使える
一方、Jitsiで使用するアカウントは、Jitsi上では作成できない仕組みになっています。その代わり、外部でSIPやXMPP(Jabber)といったアカウントを作成し、それを用いてログインすることでJitsiの機能が使えるようになります。
手順としては
- 事前にSIPやXMPP(Jabber)のアカウントを作成
- Jitsiをインストール
- 作成したアカウントとパスワードでログイン
- アカウント名を交換して通信
という形になります。
SIPやXMPPはインターネットで使うプロトコル(形式)の種類の1つです。難しいことを理解する必要はなく、
SIPやXMPPは複数のソフトやアプリで使用できる、音声通話、ビデオ通話、インスタントメッセージ(チャット)のためのアカウントという理解で充分だと思います。
そのうち、SIPはSmartalkなどのIP電話(050番号)に紐づけられている印象が強いです。対して、XMPPはメールアドレスのような形で持てるアカウントです。
XMPP(Jabber)アカウント
ここでは、インターネット上で容易に取得できるXMPP(Jabber)アカウントを用いてJitsiを使用していきます。
XMPPについての解説は、こちらのページが詳しく、わかりやすく記載があります。ただ、少し僕のような素人には難しい文章でした。
簡単に言ってしまえば、XMPPは、○○@ドメイン名という、メールアドレスのような文字列を取得することで、音声通話やチャット、ビデオ通話も出来てしまうアカウントです。使用できる細かい機能は、アカウントを使ってログインするソフトの機能によって決まります。
1個作ってしまえば、いろんなソフトやアプリで使い回しができるのがXMPPのメリットの1つです。
また、作成の際に個人情報が不要というのも特徴的です。
もちろん、個人情報を提供しなくても、XMPPには暗号化が義務付けられているようなので、安心して使用ができます。(リンク先は英語ページです)
XMPP(Jabber)アカウントを作成する
では、実際にJitsiを使うためにXMPPアカウントを取得します。
取得はあっさり簡単に終わります。
- XMPP.JPにアクセス
XMPP.JPは日本語に対応したXMPPサーバーで、無料で安全にアカウントを作成することができます。パスワードを忘れた場合の復旧が必要な場合のみ、事前にメールアドレスの登録が必要ですが、基本的に個人情報は不要です。
- 「アカウントを作成」をクリック
アクセスすると以下の画面が表示されます。
中央部の「アカウント作成」をクリックします。
- ユーザー名とパスワードを登録
以下の画面が表示されたら、指示に従って好きなユーザー名とパスワードを決めてください。
ユーザー名:〇〇〇〇〇@xmpp.jp(大文字は使用できない)
パスワード:〇〇〇〇〇〇〇〇
(〇は好きな組み合わせ)
となります。ここでユーザー名もしくはパスワードを忘れてしまうと、アカウントの復旧は出来ないので、必ずメモをとっておきます。
「私はロボットではありません」の横をクリックし、画像が表示される場合はその指示に従ってください。チェックが入ったら、「登録」をクリックします。
以下のように登録完了の画面が表示されればOKです。
- パスワードの変更、メールアドレスの登録
メールアドレスの登録は任意ですが、パスワードを忘れやすい場合は登録しておきます。
XMPP.JPのトップ画面の右上にある「ログイン」をクリックすると、先ほど登録したユーザー名とパスワードを入力する画面が表示されます。
入力して「ログイン」をクリックしましょう。
ダッシュボードに移ります。
「パスワードの変更」をクリックして、新しいパスワードを入力し変更することができます。
また、「メールアドレスの登録」をクリックして登録したいメールアドレスを入力することで、パスワード再設定用のアドレスが登録されます。認証メールが届く場合は、画面の指示に従って本人確認をしてください。
以上で、Jitsiを使用するのに必要なXMPPアカウントを作成することが出来ました。手順に従えばすぐに作成ができるので心配ありません。
Jitsiをインストールする
XMPPアカウントを作成できれば、Jitsiをインストールしてすぐに使用することができます。
Jitsiのインストール手順について説明します。
Jitsiのダウンロード
- Jitsiのダウンロードページにアクセスする
アクセスすると、各OS用のJitsiのダウンロードファイルが用意されています。
AndroidやiOSを使用する場合は上部のJitsi Meetをダウンロードして使用してください。
- 「Stable Builds」からPC版をダウンロード
ここではPC用のJitsiについて解説をします。
下にスクロールすると、「Stable Builds」と「Latest Nightlies」の2つがあります。
Stable Builds は、動作確認済みの安定版です。一方、Latest Nightliesは開発段階であり、日々更新されています。よく耳にするベータ(β)版よりもずっと早期の、動作不良やバグを改善している段階のバージョンなので、日常的に使用するのはよくありません。
ここでは図中で囲んだ「Stable Builds」(安定版)をダウンロードしましょう。
Stable Buildsの中から、「Jitsi Desktop stable build line」を探すと、各OSのに対応したダウンロードリンクがあります。1番上がWindows、2番目がMac用です。パソコンのOSに合ったファイルをダウンロードしてください。
Jitsi インストールの実行
ダウンロードしたファイルを実行する(開く)とインストールが開始されます。
「Next」をクリックします。
規約に目を通し、同意のチェックを入れて「Next」をクリックします。
インストール先を決めます。基本はProgram FilesでOKです。選択後、「Next」をクリックします。
次に表示される Additional Tasks の画面で簡単な設定ができます。
他にメッセージやメール用のソフト(Outlookなど)を使用している場合は、「Make Jitsi the default Instant Messaging Provider」のチェックを外しておきます。また、SIPとXMPPのチェックは付けておきます。基本は以下の画像のようにチェックを付けておけばOKです。
その後、「Next」をクリックします。
「Install」を押すとインストールが開始されます。
「このアプリがデバイスに変更を加えることを許可しますか?」と表示される場合は、「はい」をクリックしてインストールを続行してください。
インストールが完了したら、「Finish」を押してください。「Launch Jitsi」にチェックを入れると、直後にJitsiが自動起動します。
サインイン、連絡先の追加
インストールできたら、先ほどのXMPPアカウントを紐づけて、Jitsiを使用してみましょう。
XMPPアカウントでサインイン
初めてJitsiを起動すると、以下のようなサインイン画面が現れます。
XMPPの欄に、先ほど作成したユーザー名とパスワードを入力してサインインしましょう。
もし複数のアカウントを使い分けたい場合は「ファイル」→「新しいアカウントを追加」をクリックします。
ネットワークのプルダウンから、XMPPを選択し、同様にユーザー名とパスワードを入力してサインインします。(場合によっては再度パスワードの認証が出る場合がありますが、同じパスワードを入力してください。)
XMPP以外の、SIPアカウントやGoogleアカウントなども追加できます。
連絡先(コンタクト)の追加
連絡したい相手をJitsiの連絡先に追加する場合は、あらかじめ相手にXMPPアカウントやSIPアカウントを作成してもらい、ユーザー名を聞いておきます。
「ファイル」→「コンタクトの追加」を選択します。
相手のIDと、表示したい名前を入力し、「追加」をクリックします。
その後、連絡先の追加申請が相手に届きます。申請が承認されると、以下のように画面が変化します。
Jitsiの基本操作
追加した連絡先と、通話やチャット、画面共有を行ってみましょう。
ホーム画面タグ
ホーム画面から会話をしたい連絡先を選択すると、タグが表示されます。
左から「チャット」「音声通話」「ビデオ通話」「画面共有」となっているので、連絡手段を選択できます。
チャット画面上のメニュー
チャット画面を開くと、上部にメニューがあります。ここからも連絡手段を選択できます。
セキュリティ強化では、相手が連絡したい相手本人であることを認証することで、更に安全に連絡をすることができます。
通話画面中のメニュー
通話画面中のメニューを選択することで、音声通話やビデオ通話を自由に切り替えることができます。
また、通話を繋げて数秒経つと、「zrtp🔒接続済み」という表示が現れます。zrtpは通話内容を暗号化する技術の1つで、この表示がされていれば、外部からの盗聴や通話内容の流出の危険が極めて少ない、安全な通話が確立された状態と言えます。(参考ページ)
ビデオ通話
ビデオ通話を行うと、左下に自分の映像、中央に相手の映像が表示されます。
上手く表示されない場合は、通話を再度掛けなおすか、Jitsiを再起動すると成功する場合が多いです。
画面共有(双方向)
画面上部に、以下の青いタグが表示されているときは、自分の画面を相手に共有している状態です。
相手が画面共有を選択すると、ビデオ通話同様、相手のPC上の画面が通話画面に映し出されます。
会議通話
管理人の人脈と環境ではまだ動作確認は出来ておりませんが、通話ができる環境の端末同士では会議通話が出来ます。複数人のビデオ通話や画面共有も可能と思われます。
確認できた際には当記事を更新いたします。
使用上の注意点
PCの環境や設定などによっては、画面共有が通話が上手く動作しなかったり、エラーが発生する場合があるようです。管理人がJitsiを使用して、気づいた点があれば随時以下に更新していく予定です。
画面共有を行う際
- Windowsで、カスタムスケーリング(表示される文字サイズを100%ではなく拡大や縮小をして表示)を行っていると、相手側に画面共有を行うことができないようです。管理人はカスタムスケーリングの設定を解除すると正常に画面共有ができるようになりました。画面共有が正常に動作しない場合は、Windowsの設定からカスタムスケーリングが100%になっているかチェックをお願いいたします。
まとめ
Jitsiは「複数人の同時画面共有が可能」「高度な暗号化技術によって安全な通信が可能」な点で、Skypeよりも優れたメッセンジャーソフトであると言えます。
基本的な操作方法についてここまで説明してきましたが、XMPPアカウントを使用してログインができれば、操作で戸惑うこともなく簡単に使用することができます。
Skypeよりも安全かつ便利に、ビジネスやプライベートの通話や会議を行いたい方はぜひ導入してみてください。